インプレスグループで法人向け情報コミュニケーション技術関連メディア事業を手がける株式会社インプレスR&D（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：井芹昌信）は2012年1月5日、書籍の縦書き・横書きに関する意識調査の結果を発表しました。調査対象は、インプレスR&Dが発行する電子出版産業に携わる人向けの電子雑誌「OnDeck（オンデッキ）」の読者、およびNTTレゾナントが運営するgooリサーチのアンケートパネル。実施期間は、OnDeckが2011年12月6日から12月19日、gooリサーチが2011年12月9日から12月13日。有効回答数は、OnDeck読者が558件、gooリサーチが1068件。
出版物で多く使われている縦書きですが、日本以外では一部の国・地域で使われるのみで、国際的には少数派となる記述方式です。電子書籍の国際的な標準フォーマットである「EPUB」においても縦書きは未サポートでしたが、2011年10月に縦書き表示をサポートした「EPUB 3」が正式に発表され、注目を集めています。
今回、電子書籍化を進める前提として、国際的には少数派である「縦書き」に対する考えをあらためて調査しました。書籍を日常的に購入し、電子書籍への関心も高いOnDeck読者と、インターネットを一般的に利用しているgooリサーチのアンケートパネルの双方に同じ質問を行い、傾向を分析しました。
■日常生活は「横書き」が中心
日常生活における文書の書き方を聞いたところ、OnDeck読者のほとんどが「横書き」と回答し、「縦書き」と回答した方はわずか2％でした。パソコンを使って文書を書くことが多いこと、ビジネス文書などが横書き中心であることなどが影響し、縦書きの文書を書く機会は限られていました。gooリサーチの結果もほぼ横書き中心でしたが、紙の用紙を使っている方の割合が高いのがOnDeck読者と大きく異なるところでした。また。「文章はほとんど書かない」と回答した方も14％いました。
好きな作家の作品が横書きのみの書籍で販売される場合、購入するかどうかを伺ったところ、OnDeck読者の場合「気にせず購入する」が37％に、「気になるが好きな作家の作品なので購入する」が31％と、7割近くの方が横書きでも購入すると回答しました。縦書き中心の出版物の中で、横書きでも受け入れるという方が7割近くいたことは驚きでした。また、積極派（気にせず購入する）と消極派（気になるが好きな作家の作品なので購入する）がほぼ半数になっている点も興味深いところです。
一方、gooリサーチでは「気にせず購入する」が46％と半数近くと、縦書き横書きをあまり意識していないという結果が出ています。一般ユーザーにとって、魅力的なコンテンツであれば気にしないで購入するというのは、非常に興味深い結果です。
しかし、電子書籍のみ横書きで先行販売される場合は、反応が変わりました。OnDeck読者の場合、さきほどの積極的な回答とほぼ同数の方が、気にせず電子書籍を購入すると回答していたのに対し、「気になるが先行販売されるのであれば買う」は15％と先ほどの半数程度まで減少し、「紙の書籍が出るまで買わない」が25％となりました。また、gooリサーチの場合、「紙の書籍が出るまで買わない」が43％となり、気にせず購入する方は20％まで減少しました。
一般ユーザーの多くは、縦書き横書きではなく、紙か電子かが選ぶ決め手になっているといえます。
■出版社の縦書き表示への取り組みを半数以上が「支持する」と回答
出版社の電子書籍に対する縦書き表示への対応を伺いました。設問として答えにくいものでしたが、OnDeck読者およびgooリサーチのどちらも、53％の方が「支持する」と回答しました。自由回答欄には、「日常生活では横書き中心になっているが、書籍の縦書きは文化として守ってもらいたい。それを守れるのは出版社しかない」といった声が多く、出版社に対し期待する意見がみられました。
一方、「支持しない」という回答結果は大きな違いが出ました。OnDeck読者では27％いたのに対し、gooリサーチでは7％となっています。自由回答欄をみてみると、OnDeck読者では「縦書き表示にこだわるあまり、電子書籍が出ないのであれば支持したくない」という意見が多くありました。Gooリサーチで支持しないと回答した人が少ないのは、電子書籍に対する関心度合がそのまま表れた結果といえるでしょう。
今回の調査の全容と分析結果は、1月5日発売の「OnDeck monthly 2012年1月号」で掲載しています。OnDeck monthlyは下記の電子雑誌ストアにて販売しています。
OnDeck weekly（EPUB版・Kindle版）は登録読者向けに無料配布しています。
・OnDeck公式サイト（
http://on-deck.jp/）
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